【閲覧注意】死刑執行の現実が非道すぎる
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死刑執行当日の流れ
本人に死刑の執行を通達するのは、当日の午前9時である。
処遇部門の刑務官と警備隊の数名が独房の扉を開け、本人に死刑の執行を通達する。この時、何かをやりかけていたとしても、片付けも、荷物の整理も許されず、そのまま刑場へ連れて行かれる。そして10時には処刑される。
予告なしで、執行の1時間前にいきなり通達というこの方法は、死刑廃止論者から「非人道的だ」との批判が強い。だが昔からこうだったというわけではなく、昭和40年代までは、前日か2日前には執行を伝えていた。
自分の死刑の日取りを聞いた受刑者は、執行までに肉親と合わせてもらったり他の死刑囚と話をしたり、遺書を書いたり好きなものを食べたりなど、最後の人生を過ごし、刑場へと向かっていた。
しかし昭和50年(1975年)、福岡拘置所で、翌日の死刑執行通達された受刑者が、カミソリ自殺をするという事件が起きた。拘置所の責任問題として大変な事態に発展し、この事件を契機として、執行を告げるのは当日の朝という慣例が全国的に定着していった。
午前9時が死刑囚たちの恐怖の時間帯であって、この時間帯に館内に足音が聞こえてくるとすさまじい緊張状態となり、耳をすまして足音の行く先を伺う。
ある刑務官は、たまたま別の用事で朝、独房の扉を開けたところ、中にいた死刑囚が恐怖に引きつった顔でブルブルと震え、失禁していたのを見たという。
通達を受けた死刑囚の反応は様々で、素直に覚悟を決める者もいれば腰を抜かして立てなくなる者、物を投げたり暴れたりして抵抗する者などがいる。
だが有無を言わさず刑務官たちが両腕を抱(かか)え、処刑場まで連行する。
死刑囚は、まず仏間のある部屋へ通される。そこは香(こう)がたかれ、教誨師(きょうかいし)がお経を上げている部屋である。
そこで拘置所の所長が正式に死刑執行命令書の到達を受刑者に伝える。この後、希望すれば遺書を書くことも出来、また、お菓子や果物を食べることも出来る。タバコが許可される拘置所もある。
死刑に立ち合う者は、検察官・検察事務官・監獄の長(拘置所の所長)の3人である。実際はこれらに加え、拘置所の職員約10名と、教誨師(きょうかいし)、医師が立ち合う。
拘置所の職員は、死刑囚を刑場に連行し、首に縄をかけ、床下を開けるスイッチを押すなど、実際の作業全般を行う。
教誨師(きょうかいし)は、死刑囚の信仰によって選ばれ、読経を行ったり祈りの言葉を捧げたりして、これから死にゆく者に対しての精神の救済を目的とする者である。
医師は執行後、遺体を縄から外(はず)した後に、死亡確認を行う。
死刑に立ち合う拘置所の職員は機械的に選ばれるが、職員の精神面などを配慮して、新婚の者や通院中の者、妻が妊娠中の者などはその選考から除外される。立ち合いに選ばれた職員には当日の朝、通達がある。